犬のマウンティングはやめさせられる？クッションへの理由と対処法

愛犬の犬マウンティングクッションの行動でお悩みではありませんか？ふとした時に、なぜうちの子はなぜ犬クッションにマウンティングするのだろうと、不思議に思ったり困惑したりする飼い主さんは少なくありません。実はこの行動、雌犬のマウンティングクッションのケースでも見られ、対象がクッションだけにとどまらず、お気に入りのぬいぐるみに及ぶこともあります。特に、マウンティングのやりすぎは愛犬の身体への負担も心配ですし、お客様が来た時に人の足にしがみついてしまうのは、少し気まずいものですよね。この行動は単なる性的なものだけでなく、様々な犬の心理が隠されています。この記事では、犬がマウンティングをする背景にある多様な理由を一つひとつ解き明かし、今日からご家庭で実践できる具体的な対処法まで、分かりやすく丁寧に解説していきます。

この記事で分かること

犬がクッションにマウンティングする様々な理由
クッションや人など対象物ごとの正しい対処法
状況を悪化させるやってはいけないNG対応
愛犬とのより良い関係を築くためのヒント

犬のマウンティングクッションに隠された様々な理由

なぜ？犬クッションにマウンティングする心理
ぬいぐるみも同じ？犬マウンティングぬいぐるみの意味
女の子もするの？雌犬マウンティングクッションの背景
物だけじゃない！犬マウンティング人の足への気持ち
ストレスや興奮が原因となることも

なぜ？犬クッションにマウンティングする心理

愛犬がクッションにマウンティングをする行動には、一つだけでなく複数の心理や理由が隠されています。性的な行動と捉えられがちですが、実際には全く異なる意味合いを持つケースが非常に多いのです。愛犬の気持ちを理解するためにも、まずは考えられる主な理由を知ることから始めましょう。

主に考えられる理由は、「遊びの一環」「エネルギーの発散」「支配欲の現れ」の3つです。特に子犬や若い犬の場合、有り余るエネルギーを発散させるためや、単純に暇つぶしの遊びとしてクッションを対象に選ぶことがあります。また、自分のお気に入りの場所や物を「これは自分のものだ」と主張するために、マウンティングという形で支配欲を示すこともあります。

理由	具体的な心理・状況
エネルギー・ストレス発散	運動不足や退屈な時間が続くと、手近なクッションでエネルギーを発散させることがあります。
遊び・暇つぶし	他にすることがなく、クッションにじゃれついているうちに楽しくなってしまい、行動がエスカレートするケースです。
支配欲・所有欲	「このクッションは自分のものだ」という気持ちから、他の誰にも取られないようにマーキングに近い意味合いで行います。

このように、クッションへのマウンティングは犬にとってごく自然な行動の一部であることが分かります。そのため、行動の背景にある愛犬の気持ちを理解せずに、ただ叱りつけるだけでは根本的な解決には繋がりません。

ぬいぐるみも同じ？犬マウンティングの意味

クッションと同様に、ぬいぐるみも犬がマウンティングの対象にしやすいアイテムです。その理由はクッションの場合と非常に似ていますが、少し異なる側面も持ち合わせています。

ぬいぐるみにマウンティングする際も、クッションと同様にエネルギーの発散や遊びが主な理由として挙げられます。しかし、ぬいぐるみの場合はより「所有欲」や「支配欲」の意味合いが強くなる傾向があります。犬にとってお気に入りのぬいぐるみは、自分の大切な所有物です。それを誰にも渡したくないという強い気持ちが、マウンティングという独占的な行動に繋がることがあるのです。

ぬいぐるみへのマウンティングの特徴

クッションへの行動と比較して、特定のお気に入りのぬいぐるみ一つに執着する傾向が見られます。これは、そのぬいぐるみを自分の社会的地位（群れの中での順位）における仲間や、支配の対象として認識している可能性を示唆しています。

もし愛犬が特定のぬいぐるみにだけマウンティングを繰り返すのであれば、それはそのぬいぐるみに対する強い執着の現れかもしれません。この行動が過度になると、ぬいぐるみを取り上げようとした際に唸ったり噛みついたりするなどの問題行動に発展する可能性もあるため、注意が必要です。

女の子もするの？雌犬マウンティングクッションの背景

マウンティングはオス犬特有の行動だと思われがちですが、メス犬（女の子）がクッションなどの対象にマウンティングすることも決して珍しくありません。メス犬がこの行動をとる背景にも、オス犬と同じように様々な理由が存在します。

メス犬の場合、多くは性的な意味合いではなく、精神的な興奮や優位性を示すために行われることがほとんどです。例えば、飼い主さんが帰宅して嬉しい時や、遊びに夢中になって興奮が高まった際に、その気持ちを表現する方法としてマウンティングをすることがあります。

発情期（ヒート）との関連

また、発情期（ヒート）のホルモンバランスの変化によって、一時的にマウンティング行動が見られることもあります。これは生理的な現象の一部であり、性的な意図が含まれているわけではないと考えられています。しかし、この行動が日常的に見られる場合は、他の理由が隠れている可能性が高いでしょう。

メス犬のマウンティングは勘違いされやすい？

メス犬のマウンティングはオス犬以上に飼い主さんを困惑させることがありますが、その多くは「嬉しい！」「楽しい！」といった感情表現や、カーミングシグナル（自分を落ち着かせるための行動）の一種です。性的な行動と決めつけず、どんな状況でその行動が見られるかを観察することが、理由を理解する鍵となります。

物だけじゃない！犬マウンティング人の足への気持ち

愛犬の行動がクッションやぬいぐるみといった「物」だけでなく、飼い主さんや家族、来客の「人の足」にまで及ぶと、多くの飼い主さんはさらに頭を悩ませることになります。人の足へのマウンティングには、物に対するものとは少し違った、より複雑な心理が働いています。

主な理由として考えられるのは、「飼い主さんの気を引きたい」「遊びや喜びの表現」「自分の優位性を示したい」という3つの心理です。

犬が人の足にしがみついた時、多くの人は「やめて！」と声を上げたり、身体を離そうとしたりします。犬はこの反応を「構ってもらえた」「遊んでくれている」と勘違いしてしまうことがあります。この誤解が、「マウンティングをすれば注目してもらえる」という学習に繋がり、行動を強化してしまうのです。

優位性を示そうとしているケースに注意

もし犬が飼い主さんに対して優位性を示そうとしてマウンティングをしている場合、これは両者の関係性を見直す必要があるサインかもしれません。犬社会ではマウンティングが相手より自分が上の立場であると示す行為でもあります。この行動を許してしまうと、犬が自分をリーダーだと勘違いし、他の指示も聞かなくなる可能性があります。

人の足へのマウンティングは、単なる困った行動ではなく、愛犬が送る何らかのメッセージであると捉え、その背景にある心理を読み解くことが大切です。

ストレスや興奮が原因となることも

これまでに挙げた理由の他に、「ストレス」や「過度の興奮」がマウンティング行動の引き金になることも少なくありません。この場合のマウンティングは、動物行動学でいう「転位行動（てんいこうどう）」の一種と考えられます。

転位行動とは、葛藤状態（例：嬉しいけれど、どうしていいか分からない）に陥った際に、その状況とは全く関係のない行動をとることで、高ぶった気持ちを落ち着かせようとする自己防衛的な行動です。

例えば、お客さんが来て嬉しいけど少し怖い…そんな複雑な気持ちの時に、突然クッションにマウンティングを始めることがあります。これは、どう処理していいか分からない感情を、身近な行動で発散させて心のバランスを取ろうとしているんです。愛犬なりのストレス対処法と言えるかもしれませんね。

運動不足や長時間の留守番、家族構成の変化など、犬がストレスを感じる要因は様々です。もし愛犬のマウンティングが特定の状況下で頻繁に見られるなら、それは何らかのストレスサインである可能性を疑ってみる必要があります。行動そのものをやめさせるだけでなく、ストレスの原因を取り除いてあげることが、根本的な解決への近道となります。

犬のマウンティングクッションをやめさせる正しい対処法

犬マウンティングやりすぎがもたらすリスク
物へのマウンティングをやめさせる時の注意点
人への行動は毅然とした態度で無視
注目は逆効果！叱るときの注意点
ストレスを発散させる日頃のケア
根本的な解決を目指す生活環境の見直し
理解が重要！犬マウンティングクッションとの向き合い方

犬マウンティングやりすぎがもたらすリスク

愛犬のマウンティング行動を「本能だから仕方ない」と放置してしまうと、思わぬリスクに繋がる可能性があるため注意が必要です。特に、頻度が高い「やりすぎ」の状態は、心身の両面で様々な問題を引き起こすことがあります。

身体的なリスク

マウンティングの姿勢は、後足で体を支え、腰を小刻みに振るという特殊な動きを伴います。この動きは犬の腰や股関節に大きな負担をかけることが指摘されています。

注意すべき健康リスク

繰り返しマウンティングを行うことで、椎間板ヘルニアや関節炎、膝蓋骨脱臼（パテラ）といった病気のリスクが高まる可能性があります。また、クッションなどの布製品に激しく体をこすりつけることで、陰部が擦れて皮膚炎を起こしたり、細菌感染の原因になったりするケースも報告されています。（参照：アニコム損害保険株式会社の関連記事など）

社会的なリスク

家庭内での行動が、ドッグランや散歩中に他の犬に対して行われた場合、深刻なトラブルに発展しかねません。相手の犬に恐怖心を与えてしまったり、マウンティングをきっかけに本気の喧嘩に繋がったりすることもあります。飼い主としてのマナーとして、他の犬へのマウンティングはすぐに制止する必要があります。

物へのマウンティングをやめさせる時の注意点

クッションやぬいぐるみといった「物」へのマウンティングをやめさせる際は、タイミングと一貫性が非常に重要になります。間違った対応は、逆に行動を強化してしまう可能性があるため、慎重に行いましょう。

最も効果的だとされている方法の一つは、マウンティングの対象となっている物を取り上げてしまうことです。ただし、これには注意点があります。

対象物を取り上げる際のコツ

犬がマウンティングをしている最中に無理やり取り上げようとすると、「取られるものか」と余計に執着を強めてしまうことがあります。理想的なのは、犬が見ていない隙に、その物を完全に隠してしまうことです。犬の目の届く場所に置いたままでは、欲求不満が募るだけなので注意しましょう。

もう一つの方法は、全く別のことで気をそらすことです。マウンティングを始めた瞬間に、大きな音を立てて気を引いたり、大好きなおもちゃを投げて遊びに誘ったりします。犬の興味をマウンティングから別の楽しいことへと切り替えさせるのです。成功してマウンティングをやめたら、すかさず「お利口！」と褒めてあげましょう。「マウンティングをやめると良いことがある」と学習させることが目的です。

人への行動は毅然とした態度で無視

愛犬が飼い主さんや家族の足にマウンティングをしてきた場合、その対応は物に対するものとは少し異なります。ここで最も重要なのは、騒いだり、喜んだり、中途半端に叱ったりせず、毅然とした態度で「無視」を貫くことです。

前述の通り、犬が人にするマウンティングは「気を引きたい」という気持ちが根底にあることが多いです。そのため、どんな形であれ飼い主が反応してしまうと、犬の「構ってもらいたい」という目的が達成されてしまいます。これが行動をエスカレートさせる最大の原因です。

「やめなさい！」と騒ぐのは、犬に「遊んでもらっている！」と勘違いさせてしまう最悪の対応です。正しいのは、無言でスッと立ち上がり、その場を離れること。愛犬に背中を向けて、別の部屋に移動してしまうのも効果的です。「この行動をすると、大好きな飼い主さんがいなくなってしまう」と学習させることが大切なんです。

この対応は、家族全員が一貫して行う必要があります。ある人は無視し、ある人は反応してしまうようでは、犬は混乱してしまい、学習効果が得られません。家族内でルールを統一し、徹底しましょう。

注目は逆効果！叱るときの注意点

マウンティングをやめさせたい一心で、つい大きな声で叱ってしまう飼い主さんもいるかもしれません。しかし、叱り方を間違えると全く効果がないばかりか、逆効果になることさえあります。

特にやってはいけないのが、甲高い声での叱責です。「ダメよー！」「またやってるのー！」といった高いトーンの声は、犬にとっては褒められたり、喜ばれたりしている時の声と区別がつきにくく、むしろ「飼い主さんが喜んでる！」と勘違いさせてしまう可能性があります。

	OKな叱り方	NGな叱り方
声のトーン	低く、落ち着いた声	甲高い、感情的な声
言葉	「ダメ」「NO」など短く一言	「なんでそんなことするの」など長々と言う
タイミング	行動の直後	時間が経ってから
その後の対応	無視するか、正しい指示（おすわり等）を出す	叱りながら撫でたり、抱き上げたりする